惚れたのはナルシスト



「それは・・・その、そうじゃなくて、美穂は、周りが見えてないよ・・・。」

「はあ?」

「間違ってるって言うより、周りが見えなさすぎてるよ、美穂は、自分勝手だよ。」

「アタシが?」

「うん・・・。」

「やっぱり真白は変わってるね。」

「え?」

「アタシ、真白なんていらないな。真白を利用する為に近づいたのに、これじゃ、無理じゃない。もう、いらない。」

「・・・え?」

「分からない?もう友達やめよーよ。めんどくさい、アンタ。」

ニッコリと笑って言う台詞じゃないと思う。

「どうして?」

「アタシにとってプラスになる人しかいらない。」

「そ、れじゃあ、アイツはプラスなの?」

「勿論。雪兎はね、カッコ良くて、アタシを引き立ててくれるもの。それに、アタシのこと誰よりも分かっててくれるもの。アンタとは比べ物にならない程、アタシと雪兎の絆は深いの。だから、アンタと雪兎じゃ無理。釣り合わない。相性も悪そうだし、友達なんて絶対嘘よ。アンタは、雪兎が好き。そうでしょう?」
「違う!!」

「アタシって本当に優しいよね、優しいから、虐めてなんかあげない。形だけ友達で居てあげる。どう?優しいでしょ?」

「なんで・・・?」

「なんでって、アタシもバカじゃないの?アンタになにかあれば雪兎が誰を疑うかくらい目に見えてるの。それに、形だけでも仲良くすれば、近づけるでしょ?」

「じゃあ、なんでアタシと一緒に居るために、アイツを追い払ったりしたの・・・・?」

「そんなの簡単よ。アンタこの後、どうせ分かりやすくアタシと2人っきりになりたがらないでしょ?だったら、雪兎だって、そんなに仲が良いって思わないでしょ?最初に仲良くしとけば、それなりに仲良しだって思われるじゃない。全部、利用してただけよ。」

なんてずる賢い人なんだろう・・・。



「それじゃあね。精々雪兎にくっついとけば?その分、アタシも一緒に居れるわけだし?」