惚れたのはナルシスト





「なにすんの!?真白ちゃん酷い!」

「酷い?何がよ?
勝手にアタシがアンタ好きみたいに言ってる方が酷い!
会って数日だよ?好きになるわけないじゃん!」

「好きになるのに時間なんて関係ないと思いま~す」

「そ、それはそうだけど・・・、
けど、アンタだけは有り得ないからッ」

「ねえ、真白ちゃん」

「なっ、なによ!?」

「アンタじゃないよ」

「え?」

「オレ雪兎だから。」

「知ってるけど・・・」

「雪兎って呼んで?」

「嫌に決まってる。」

「どうして?」

「どうしてって・・・」

「雪兎って呼ぶだけじゃん。
何が嫌なの?オレ分かんないから、教えて欲しいんだけど。」


だから嫌なんだ。

いきなり真剣な表情されるのは苦手だ。こんなの不意打ちだ。


名前なんて呼んだら、心の距離がまた少し近づきそうで。

必要以上に近づくと危ないんだ、この男は。



なんて事を言って“何か”を見透かされてしまいそうで。

絶対にそれだけは避けたい。