惚れたのはナルシスト





「あ、そうだ。
小田にはホントに気をつけてよ?怖いから。」

「怖いって・・・」

「オレがナルシストなら、
アイツはオレ以上のナルシストだから、さ。」

「美穂が?そんなことないとは思うけど?」

「あるの、分かった?」

「えー、でも実際可愛いし?」

「だったらオレも結構良い顔してね?」

「うざい・・・。」


確かに最初は美少年かもって思ったけどさぁ、

こんな性格だって知らなかったら今頃・・・。


「そのうざいとこが好きなくせに」

クスッと笑うコイツに

「うっさい」

と思いっきり足を踏みつけてやった。

すると、どうだ

「いってぇ!!」

奴は涙目になって、足を押さえてる。

「(か、かわいい・・・)」

そう思うのも無理はない。


この男に涙目で、しかも上目遣いされたら、ノックアウトだ。


・・・こんなこと思ってるアタシも既に奴の毒牙にかかってるのかもしれない。