それでもやっぱり、野口は相変わらずの無口。


小川曰く、機嫌の悪い日は、あいさつすら返してくれないらしい。

それって、人間として、どうよ………???





あたしは、美希と席に座って、話していた。



「美希、隣の席の子どう???」

「どうって………羽瑠知ってるでしょ???電車オタクのキモメンだから」

美希はため息をつく。



そうだった………

美希の隣のやつは、クラス1のオタク。
しかも性格が悪いから、みんなに嫌われている。

本人が悪いんだから、しょうがないんだけど。








「………すみません、ペン拾ってください」




「…………え???」





声の正体は野口だった。



おいおい、二回目の会話まで野口からかよ。


あたしのプライドが…………





「えっと………どこ??」


「足元に………」


足元をみたら、ペンがあった。

あたしはそれを拾って、野口に渡した。




「はい」

「……ありがとうございます」



そう言ったきり野口は話しかけてはこなかった。