トナリの無口くん



さっきとは打って変わって無愛想な表情で、野口は小島を見た。


「まったく…小島のせいで、無口な俺に戻れねぇじゃねぇか」

「あ……すんません」

なぜか謝る小島。


野口は少し目尻を下げたけど、声はあげなかった。




「俺は……別に面白くともなんともないけど」


話し方がいつもに戻った野口。

なんだか、こっちの方が違和感がでてきだしたような………



小島は、一気に野口の二つの面を見たせいか、戸惑っている。




「俺と、友達になったって、いいことなんてないよ」


えっ????

野口、なんでそんな事言うの???

小島と仲良くなりたいんじゃないの???





あぁ、そうか。

ちょっとだけ、考えてわかった。


野口は、ホントは嬉しいんだよね???

でも、今は無口な野口だから。

自分の感情を表に出すわけにはいかないんだ。


いくら仲良くなりたいっていっても、いきなり心を開くわけにはいかないだろうから。





「そんなの関係ねぇ」


小島の口から言葉がこぼれた。