トナリの無口くん



あたしはもう、小島の顔を見たくなかった。




「小島……最低。ありえない。マジムカつく。顔見るのもイヤ!!!」


あたしはそう言って、廊下を走っていった。

特に行くあてもなく。




「羽瑠??!!!」

「高原!!!」


美希や小川が呼ぶ声がした。


でもね、あたしは小島の顔を見たくないの。




どうしても、許せない。


野口のことを、なにも知らないくせに、野口をバカにしたこと。


しかも、言った人が、野口が友達になろうとしてた人だったこと。



それが、あたしには許せなかった。


あたしは、ホントの野口を知っている。


だからこそ、許せなかった。




小島たちが見えなくなった所で、あたしは足を止めた。


小島のいる場所になんか、戻りたくない。

もう帰っちゃおうかな………







「………高原」