「あんたさあ、どういうつもり?」
三沢さんが、腕を組み見下ろしてきた。
うまく、頭が回転しない。
なんで、今取り囲まれてるのか。
三沢さんの言う意味が分からない。
「それって、どーいうこと…?」
「しらばっくれんな!あんたが、相模君とお昼食べてたの知ってんだからね!」
見られてたんだ…!あの時の音は、三沢さんだったんだ。
「でもっ、あれは瑠稀がっ…!」
そう言った瞬間、バシャッという音とともに全身が濡れた。
頭から水をかぶった。
それは、三沢さんの取り巻きがいつのまにか用意してたバケツに入れた水をかけたからだと気づくのに数秒かかった。
「相模君のせいにすんじゃないわよ!それに、幼馴染だかなんだか知らないけど…瑠稀ってあたしたちは呼ぶの許してくれないのに…なんであんただけ」
キッと睨まれた。
髪の毛から零れる水滴が、頬に触れて冷たい。
「しかも、手作り弁当なんて作ってきて…点数稼ぎしようってわけ?」
「っ!そんなのしてない…!」
反論するも、すぐさままた水をかけられた。
「うるさいわよ!あんた、相模君の傍にいるだけでも目ざわりなのよ!」
「ねえ、奴隷って立候補制なの?」
三沢さんの隣に立っていた、峰さんが言った。
「やだ、何ソレ!意外と積極的なんだ!キモいんだけど」
っ…、違うのに。
水でびしょびしょの顔を、涙で更に濡らした。
「あ、ねえ。そろそろ下校時間じゃない?帰んなきゃやばいって」
3人は、あたしに嘲笑うかのような視線を送ってトイレを後にした。
今日は散々だ。
なんで、こんな目に合わなきゃいけないんだろう。

