……





嫌だな、この沈黙。
二人ともそれから一言も発することなく校門を出た。


ここまで沈黙が続くと正直、最初の一言というのが切り出しにくくなる。
やっぱりタイミングって肝心だ。


「あの、さ……いろいろ聞きたいことあるんだけど」

背中で夕日が西の地平線に落ちていくのを感じながら、
私は思い切って聞いてみることにした。

「聞きたいこと?」

「そう……なんで私には魔力が使えないのかとか、父さんが生きてるって言ってたあの話の真相、私が『男』になる秘密……知ってることあったら全部教えてほしいの」



「昨夜は会ったばっかだったし、一度に言っても僕のことなんて信じてくれないと思ったから、言えなかった」

「……紅皇、お願い」



私自身の秘密、父さんのこと……

母さんにも聞いたことはない。


「本当のこと教えて!」


もし真実を知ってしまったら、

自分が自分で居られなくなるのではないかと思って、



それが怖くて聞けなかった。



でも、今なら──

今なら、
昔より少しは真実を受け止められる覚悟はできているから……