「……ぃな、椎名!」
「え。」


気がつくと、あたしはお葬式にいた。

「何やってんの。お焼香、椎名の番だよ。」

心配そうに顔を覗き込んでくれたのは、親友の前田 美里。

「大丈夫?ついていこうか?」
「あ、あぁ平気。美里ありがとね。」

心配する美里を残して、あたしはふらふらと前へ出た。
実感が、ない。
お焼香って、どうやるんだっけ?

「もぉー、慎二がふざけるから……。」

もういないだなんて、認めない。

「慎二?何寝てんの?」
「椎名っ…!」
「痛っ…!もう、美里!いきなり腕ひっぱんないでよ。」
「椎名、しっかりしてよ!」

しっかり?
あたしは、正気だよ。美里。
ただ、認めたくないんだ。



「……認めないんだからっ……!!」