声のした方向に、目を向ける。 小首を傾げ、あたしをジッと見る彼。緩くパーマがかかったミルクティー色の髪が、秋の澄んだ風に遊ばれ揺れる。 「何急いでんの?」 もう一度、さっきより幾分優しげな声で。彼はあたしに、そっと微笑んだ。 トクン。あたしの胸が、静かに高鳴った。トクントクン。 「どうしたの」 「なんで」 「ん?」 「なんでそんな事聞くの」