上履きのまま、呆然として下駄箱の外と中を繋ぐドアを見る。


これは、靴下どころじゃすまない。

シャツなんてびちゃびちゃになって、髪は濡れて固まるぐらいになりそう。


帰ったら、すぐに絞らないと。

リボンだけを取って、鞄にしまった。


よし。

覚悟を決めたそのときだった。


「あの、この傘使いますか?」


それが、彼との初めての出会いだった。