髪に白が混じる先生の声がやけに遠く聞こえる。
今日は特別、授業が長く感じた。
全く内容が頭に入っていかないのだ。
胸の中で誰にも聞こえないため息をつく。
私はどちらかと言えば勉強は嫌いな方じゃない。
未知の世界を開拓するような気がして、とっても気分が良くなるからだ。
授業前に近くの席の女の子たちが、嫌だ嫌だって言ってるのをよく聞くから、彼女たちからすれば私の方こそ未知の存在なのかもしれないけれど。
だけど今日は授業より大きいことが起こったから、わたしの頭の中はそれどころじゃなかった。
いつもは余すことなくびっちり書き込まれるはずのノートが、ほとんど真っ白なままだ。
顔に垂れていた髪をかきあげると、ぼんやりと彼の顔を思い出していた。
