いつものように目覚め



いつものように朝を過ごし



いつものように仕事へ向かう―



この先も いつもと変わらない現実で


そうなら良かったのに―



貴方は 昨日と変わらない様子で



そこに立っていた―



慣れ親しんだ カフェの中にたちこめる薫りでさえ―



私の不安を取り去る事は出来ない―




姿を消す事が出来たなら―



考えても 無駄な事ばかりが浮かんで



どうしようも無くなる―




だけど 貴方は ちっとも 声を掛けてくれない―



朝も 昼も―



ねぇ どうして?



貴方も 過去に私を踏み付け 通り過ぎて行った人達と同じなの?



時間は過ぎるばかり―



閉店の時間が近づく



今日 最後のお客さんが店を出た―



小さな店の中―



店主は買い出し―



私は貴方と2人きり―




真実を知りたいのに



私から動けない―



傷つくのが怖いから



今日 最後の仕事 最後のテーブルを拭く私―



嘘だったの?



私には それを確かめる勇気も無く



病的にまで内気な自分を呪う―



今日 最後の仕事が終わり



私は 帰ろうと店の出入り口に身体を向ける




「チェリー」




なんて 心地の良い響きなのかしら―



期待なんてして無かった


本当はしていたかも―



貴方に呼び止められる事―



振り返らない 私



後ろから近づく 貴方―