窓に何かがぶつかるような音がして



煙草のヤニで汚れた白いカーテンに手を掛ける―



『開けるのチェリー?
 
 もう ずっと そこは  開けて無かった筈 よ…

 チェリー いつものように無視しましょう
簡単な事 ベッドに戻って 身を縮めて』


枝のように分かれる道が目の前に


希望か



絶望か



『いつもと同じように』



違う


今日は違う


何かを感じるの

特別な何かを


今を逃がさない


逃したらお終い



足取りは重いけれど


たどたどしいけれど



絶望という見えない蔦に絡めとられた窓を開放つ―



眩しさに目を閉じる


身体を包み込む陽光―



苦しみや痛みが浮き彫りにされるようで



善の光に目を開ける



そこには

住み慣れた家の2階から見える


何ら変わりのない光景―


寂れた通り―



ただ それだけ―違う



家の側―私の側



そこにいた







朱色の髪の天使が