「そうですか。貴方は読まないんですか?」
僕は男のほうに、表紙を人差し指で叩きながら言った。
「………読んだ。」
ぶっきらぼうにその男性は言う。
「貴方はこの本について、どう思いました?僕は面白いと思ったんですけど。」
「面白い?」
「? ええ。」
僕が面白いというと、その男の人は変な顔をした。
って………口元しか見えないんだけどさ。
「お前、変わってるな。」
「そうですか?」
それは、この本がつまらないということだろうか。
「じゃあ貴方は、この本はつまらないって思っているんですか?」
男の人はきょとんとして、その後複雑そうな顔をした。
「………つまらないとか、そういったものじゃない………。」
僕は、首をかしげた。
「それじゃあ、どういったものですか?」
「………俺は………」


