そのときだった。
「邪魔だ、退け。」
声がふってきた。
顔を上げて固まる。
この日が照っている5月に、黒装束。深くフード被ってるし、絶対あちい。
今黒装束が流行りなのかな………。朔夜さんも時々着てるし………………いや、普通絶対着ないよ黒装束。
「………すいません。」
おずおずと退く。
ドカッとその人は座った。
深くフードを被ってるのと伸び放題の髪の毛で顔は見えないけど、声からして男の人。
僕は、ベンチに正座という奇妙な格好で、隣をじろじろと見た。
「………なんだ?」
流石にじろじろ見すぎた。あぁ、結構失礼なことをしてしまった。
別に、変人なんて『菫荘』にいれば珍しくもなんともないのに←
「あ、すいません。………あの 暑くないんですか?」
恐る恐る聞いた。
「………余計なお世話だ。」
少しムッとしたように、ぶっきらぼうにその人は言った。


