蜃気楼。

今度は、はっきりと答える結川真央。
涙目になる母さん。

「あっでも、ケーキはスキです。」

必死の弁解も……、意味無い!??
母さん聞いてないし。

・・・そーでもないか。
目ぇキラキラさせてるし。

「そーよねぇ。
ケーキ、おいしいわよねぇ!!」

だとさ。
あっ、そうだ。紅茶いれなおそッ。

ガタンッ

大袈裟に揺れる椅子。

「尽?どうしたの?」
「紅茶。」

一言答えると、
あぁ、いれなおさなきゃね、っと立つ母さん。

「いいよ。別に。」

キッチンに入ると、

「いれるから、座りなさい。」

テーブルに戻ると、
・・・・・あー、そうだった。
結川真央がいたんだ。

意を決して椅子に座ると、
ほわぁぁんとまたあの香りが香った。

「貴方は、幸せ者です。」