蜃気楼。

そう思いつつも、靴を脱ぎ、
リビングに入ると、
そこに居たのは、さっきの女子高生。
今度は起きていた。

俺がじぃっと見ていると、
視線に気付いたのか、コッチを向いた。

慌てて頭を下げると、

「こんばんわ。結川真央です。」

と、消え入りそうな声で言った。
あぁぁッ、真央だから、まぁちゃんね。
母さんネーミングセンス無いわ。

「あッ、俺は鬼追 尽。」

慌てて自己紹介をすると、

「さっきは、どうもありがとうございます。
道に倒れていた所を助けていただいて。」

と、また頭を下げる。

「それはいいんだけど、大丈夫なの?体。」

「大丈夫です。御迷惑をかけて
しまってすみませんでした。」


即答かい。

「まぁちゃん★ ケーキ食べなぁい??」

いつのまにか、キッチンに行っていた母さんが
ひょっこり顔を出した。