蜃気楼。


止まった私の足に気付いたのは、

・・・サユリ。



「モエは、優しいんだけど…

こーゆーのは、気付かないからねぇ。」



なんと中途半端な優しさだよ!

私の耳元でボソッと呟かれた

サユリの言葉に心の中で突っ込む。



「気まずいっしょ?んっとねー。」


よしっ。

その言葉を最後にサユリが私から離れた。


「モーエちゃんっ!」


気付くと、サユリはモエに抱きついていた。


「っどーしたの?」