蜃気楼。


エミカとユミカの高い声も

今は耳に入ってこない。


「穴あるけど、つけてないでしょ?」



「・・・ッそーだね、つけてみよーかな。」


今、顔引きつってないかな?

ワザとらしくないかな?

ちゃんと笑えてるかな?


焦りばかりが増えていく。


「んじゃっ、行こっか。」


その声を合図に、

静かに歩き始めるカヤノ。


「カヤノぉー。楽しみだねぇ!!!」


ちょこんっとカヤノの隣に並び、

歩きだすモエ。


ん゛ー、私、邪魔じゃない?