赤いマーチの助手席で買い与えてやった小さなバッグにわずかな着替えを収めている。
チャイニーズ嬢は何かを悟ったように、うつ向きながら黙っていた。
……そうか、黙ってるんじゃなく、話せねぇんだった。
裕太はチャイニーズ嬢を連れてきたあの夜に簡単な診察をした。
目が見えないのは、緑内障か何かが原因で失明したらしく、そういう者を「中途失明者」と呼ぶらしい。
適切な処置を受けられる環境にいれば、光を失うほどのことはなかったらしい。
言葉が話せないのは、声帯に異常がないことから、恐らく心因性の発声障害だろうってことだった。
目が見えない暗闇。
声が出せない圧迫。
俺はそんな女を棄てに行く。
チャイニーズ嬢は何かを悟ったように、うつ向きながら黙っていた。
……そうか、黙ってるんじゃなく、話せねぇんだった。
裕太はチャイニーズ嬢を連れてきたあの夜に簡単な診察をした。
目が見えないのは、緑内障か何かが原因で失明したらしく、そういう者を「中途失明者」と呼ぶらしい。
適切な処置を受けられる環境にいれば、光を失うほどのことはなかったらしい。
言葉が話せないのは、声帯に異常がないことから、恐らく心因性の発声障害だろうってことだった。
目が見えない暗闇。
声が出せない圧迫。
俺はそんな女を棄てに行く。


