中学に入って直ぐ、あたし達の部屋は割けられた。

あたしの部屋はメタリックな家具とモノトーンで纏められ、藍の部屋は白とピンクで統一されている。
勿論、あたし達の希望した部屋だ。

だから、あたしは藍の部屋に入ると妙に落ち着かない。

なんかこう…身体中がムズムズするというか、ドキドキするというか…



その日もそうだった。


藍のお気に入りに囲まれた空間で藍の特にお気に入りのマカロンクッションを抱えて藍の話しを聞いていた。

話しの大半はエンの事。

エンが誰チャンと話してた、だとか
エンが授業中に居眠りしてた、だとか
部室からエンがシュートしたのを見た、だとか


あたしは黙ってソレを聞きながら、パック飲料のカフェオレを飲んでいた。



「ぁ、ねぇ鈴と生徒会長って付き合ってるの?」


…………!


いきなりの話題振りにあたしは口に含んだカフェオレを吹きそうになった。
エンの話しをしてたんじゃ…?


目の前でイチゴみるくを飲んでいた藍に目をやると、くるくるの目を大きく開いて興味深気にあたしを見ていた。


「なんでソウなるのよ」

「えぇ!だって学校で噂になってるよ?鈴と生徒会長が出来てるって」

「はぁ…」


あながち全くのデタラメではないのであたしは否定も出来ないでいた。


「で、どうなの?やっぱり付き合ってるの?ぁ、でも生徒会長なら頭イイし、イケメンだし、優しいから鈴の彼になっても私許せるかも~」


キャッキャッと笑って生クリームのたくさん乗ったプリンを口に運ぶ藍。

その唇に少し生クリームが付いたのを見た時、なんだか変な感じがした。


…どんな味がするんだろ―


特に甘いモノが好きなワケじゃないはずけど、しきりに唇の生クリームが気になる。


自分の衝動の素が分からない。

自分は女の子で藍も女の子で、しかも藍はあたしの妹なのに…

あの唇に触れてみたい―


あたしはオカシイのだろうか?