私が泣きたいこと、どうしてわかったの・・・?

そう思うと、カレは重ねた。


『ココデ泣イテハ イケナイヨ!』


華麗な立ち泳ぎで水槽の端へたどり着いたカレは、水中を加速して観客の真ん前まで来ると大ジャンプをした。

大量の飛沫が観客に降り掛かり、キャーという歓声があがる。

目立たないようにと顔を上げたまま、それを見ている振りを装い、私はさらに奥歯を強く噛んで涙をこらえる。


『ジャアネ!』


カレは大きな拍手とともに水中に姿を消した。

大勢の観客がゆっくりと出口へ向かう。

今日のスケジュールは終了したという放送が流れていた。