「……魏戎の足なら走って二分。だから……五十八分まで……こうしていられる」 そう言って強く彼を抱き締めると、魏戎の指がそっと私の頬に触れた。 「……正解。それなら……褒美をやらなくてはな?」 魏戎のその言葉と共に……そっと目を閉じる。 そして次の瞬間、彼の唇の感触がした。 二人の唇が重なり合い、強く抱き締め合う。 胸がドキドキと高鳴り上手く呼吸が出来ない。 「……名残惜しいな」 耳元で魏戎は甘く囁き、刻々と迫る別れの時を惜しむ様に私を強く抱き締める。