(勇次)「ハァ…」



休みが明けた月曜日の昼間、

勇次は学校で、いかにも疲れてますと言わんばかりのため息をついた。

そりゃそうだ、あの後勇次はさくらと山を降りて家に帰ったのだが、そしたら、誠雪が斧を持って家の前に立っていて、



(誠雪)「お帰り、二人とも」



と、笑顔で勇次に斧を渡した。



(勇次)「え?」



(誠雪)「あ、さくらちゃんは家に入ってていいよ? じゃ、ヨロシクな勇次」



(勇次)「あ…兄貴?」



誠雪は親指を立てて勇次に言うのだ、



(誠雪)「夕飯まで頑張れ」





‐ガチャ… バタンッ!!‐



そして、家の中へ消えていった。



(勇次)「……」





その翌日の日曜の朝は、さくらの「顔面空手チョップ」で叩き起こされ、朝早くに「町立図書館」へ有無を言わさず連れてかれた。

図書館の中へ入ると、さくらと勇次の二人以外に人は見当たらない、



(勇次)「なんでこんな早くから図書館に…」



(さくら)「昨日、誠雪さんから「一本桜」と「華顔神社」に関しての資料が図書館にどれぐらいあるか教えてもらったのよ」



(勇次)「……」



昨日の仕事のついでに、誠雪は町立図書館の知り合いに聞いてくれたようだ。



(さくら)「アンタは私の「手下」なんでしょ? だったら資料探しを手伝うのが当たり前じゃない」



(勇次)「で、何冊あるんだ?」



(さくら)「細かい物まで含めれば約100冊」



(勇次)「ひゃ、100冊!!?」



(さくら)「細かく読んでいかなきゃいけないから、ノルマは最低でも一日5冊ね、これから毎日活字と向き合わなきゃ」



(勇次)「活字を5冊か… 本を読まない俺には無理だな…」



(さくら)「何いってんの?暇な時はアンタもやるに決まってるでしょ」



(勇次)「……マジ?」



(さくら)「うん、マジ」



(勇次)「ですよねー…」



(さくら)「とりあえず、私は本を持って来るからそこら辺に座ってて」



そう言ってさくらは本棚の奥へ消えた。



(勇次)「……ハァ…」



「お前の力になる‼」と豪語してしまった手前、活字を拒否する事は出来ない、

とりあえず待たされているのも暇なので、勇次はため息とともに入口に向かい、図書館の営業時間を見た。


すると看板には、



祝日を除き

午前9時~午後5時まで



と、書いてある。

おかしい、勇次は携帯で時間を見た。