(さくら)「何で私がアンタと一緒なのよ!!」
(勇次)「いや… お前もさっき「アンタも私と同じよ」って言ってたじゃねぇか」
(さくら)「それとは話が違う!! 私はねぇ、アイツが嫌いなの!!」
(勇次)「「アイツ」って、親父さんの事か?」
(さくら)「そうよ、言うなれば「クソ親父」ね」
(勇次)「何でまたそんなに嫌いなんだ?」
(さくら)「娘をほったらかしにしてる親に「お父さん大好き~」なんていう娘なんて居るわけないでしょ、誕生日にプレゼント渡しとけばいいと思ってた最低の親よ」
(勇次)「……」
勇次はさくらを見て、素直に思ったことを口にした。
(勇次)「……お前ってガキなんだな」
(さくら)「はぁ?」
さくらの足をどけ、起き上がり、仏壇に置いてある父親の写真を見た。
(勇次)「親父さんにもっとかまって欲しかったんじゃねぇの?」
(さくら)「ハァ!?なんでそうなるの!? 私は人としてあの親父はダメだって言ってるんですけど!!」
(勇次)「俺はそうだったけどな、もっと長く生きて、もっと話をしたかったと思ってる…」
(さくら)「アンタと私は違うって言ってるでしょ!! アンタに何がわかるの!? アイツのせいで私は男子と話す機会なくて、おかげで男子と話すの苦手になっちゃって、あまつさえ声かけられると声より先に拳とか足とか拳とか拳とか拳とか……」
(勇次)「さ、さくら…?」
壊れかけのラジオか何かだろうか、拳をリピートするさくらは、気狂いのようで気持ち悪い、
(さくら)「拳とかとかこ…はっ!! ゴリラ逃したーー!!!」
ゲーム内のゴリラを逃したことで、さくらは我に帰って来てくれた。
(勇次)「……結局ハマってるじゃねぇか」
(さくら)「ガァァぁぁ……とにかく!! 私の男嫌いは父親のせいだって事!!…って、今度はゴリラにリンチされてるーー!!!」
「ゴリゲッチュ」に騒ぎ立てるさくらを横目に、勇次はある疑問が出てきた。
確かに、さくらが男嫌いなのは分かる、誠雪の問いかけには、「はい」「ええ」「そうですね」など、まるで会話を続けさせない簡単な返事が多い、
対して、勇次はどうだろう、
「うるさい」「バカ」「くたばれ」など、批判する言葉は多いが、勇次の問いかけにはそれなりの返事が返ってくる、つまり、それなりの会話が出来ているのだ。
勇次はこの疑問をさくらに問いかけてみた。
(勇次)「……なぁ? 俺とお前、普通に会話してるよな?」
(さくら)「あ?それが何よ?」
(勇次)「男嫌いのお前が何で俺と喋れるんだ?」
