机の上に勇次が作った昼飯が並ぶ。

メニューは「野菜炒め」と「みそ汁」に「ご飯」、ザ日本の食卓といったようなメニューだ。

勇次とさくらはテレビをつけ、適当な番組を観ながら食べ進めていた。



‐テレビ‐

‐「お、奥さん… 僕のマグロと奥さんのマグロを交換してはいけませんか…?」


「…ダメよ… 私には旦那がいるのよ? 大間のマグロだってばれ…‐





(さくら)「ねぇ勇次」



(勇次)「なんだ?」



‐テレビ‐

‐「あぁダメ!! 私はマグロ女じゃ…」―ブツン!!!‐



さくらはリモコンを手に取り、すぐさまテレビの電源を切った。



(勇次)「……どんなドラマだよ…」



(さくら)「ホントくだらない…って、そんな話じゃなくて、アンタと誠雪さんって、けっこう歳離れてるわよね?」



(勇次)「あぁ、8つ違いだ。それがどうした?」



(さくら)「ふ~ん… やっぱ離れてるのか…」



だから何だというのか、勇次にはそんな質問をするさくらの意味が分からなかった。



(さくら)「ねぇ、誠雪さんって「一人暮らし」しないの?」



(勇次)「兄貴は中卒から「一人暮らし」だぞ?」



(さくら)「え?」



(勇次)「だから「一人暮らし」だって、昨日家に泊まったのは、今日の作業があったからだ」



勇次は食べ終えた自分の食器とさくらの食器を持って、リビングから隣の台所に向かった。

さくらも勇次の後を追う、



(勇次)「一人暮らしって言っても土日はよく帰ってくるし、住んでる所も隣町だしな」



(さくら)「何で中卒で?」



(勇次)「さあな… 中卒で仕事について、一人暮らしなのに家に金入れてるらしいし、ただ俺が覚えてるのは…」



勇次は過去の記憶を思い返す。

その記憶は誠雪が小学生で勇次はまだ幼い頃、多分、家近くの川沿いの道だったと思う。



(誠雪)「勇次!! 今日から俺が!! 俺が父ちゃんになる!!! 大黒柱になって家族を支えてやる!!!」



セピア色の記憶はそこで終わっている。

なぜ誠雪がそんなことを言ったのか、その前後の記憶が全くない。