さくらはエプロン姿のまま玄関に向かう、その間にもチャイムは連続で鳴り続ける。




- ピーンポーン…ピピピピピピピピーンポーン… -




(さくら)「は、はーい!! 待ってくださーい!!」



急いで玄関の鍵を開けるとすぐさま扉が開いた。

そして、目の前に現れたのはお婆ちゃんではなく、片手にバッグを持ち、スーツを着こなした年上と思われるイケメンだった。



(イケメン)「なんだよ勇次ぃ~ 居たんなら早く出てくれよ。春と言えど夜の外は寒………って、あれ?誰?」



(さくら)「あ… はぁ?」



なんとも図々しいイケメンだなと思ったが、いくらイケメンでも苦手な男なので、さくらはろくな言葉が出てこない、

それをいいことにイケメンは言葉を畳み掛けるのだ。



(イケメン)「あ、そうか、そう言う事か… キミ!!」



(さくら)「え?」



(イケメン)「俺のことは「お兄ちゃん」と呼んでくれないか?」



(さくら)「……はあ?」



(勇次)「兄貴、それ若干セクハラだから」



(さくら)「え!?お兄さん!?」



さくらは驚くと同時に一安心した。

それは、このイケメンが勇次のお兄さんだったからでなく、

この拳が出る前にお兄さんだと気が付けたからだ。

つまり、危うくぶん殴るところだった。



(兄 誠雪)「お、勇次ぃ~ なんだよ彼女なんか連れてきて~ 隅に置けないな~」



(勇次)「ちげぇ!!!」




(?)「どうしたの?誠雪(まさゆき)、玄関で止まって…」



(お婆ちゃん)「からだ冷えちゃうよ?早く中にお入り」



(誠雪)「よ!! 母さん、お婆ちゃん、お帰り!!」



お兄さんの後から、勇次のお母さんとお婆ちゃんが現れた。



(母)「ま!! まぁ~まぁ~まぁ~ 勇ちゃんがカワイイ女の子連れて来てる~」



(お婆ちゃん)「その子はねぇ、さくらちゃんって言うんだよ?」



(母)「あら!! お義母さん知ってたんですか?教えてくれれば良かったのに~」



(誠雪)「ホントだよお婆ちゃん!! お似合いじゃないかこの二人~」



(勇次)「どこが!!」



勇次は全力で否定しているが、そんな勇次を無視して誠雪がさくらに話かける。



(誠雪)「あ、さくらちゃん?」



(さくら)「は、ハイ!!」










(誠雪)「……俺のことは「お兄ち…」

(勇次)「うるせぇ!! 早く中入れ!!!」