(茜)「秋花ちゃんは本当にいい子だね…て言うか…」
茜は言葉混じりにアゴに手をあて、二人を見比べた。
(茜)「……やっぱりそっくりだな」
(さくら)「でしょ? 私もびっくりしちゃった」
(茜)「なるほど…牧場長が気に入るわけだ…」
(さくら)「?」
首をかしげるさくらに、茜は手を振って場を濁した。
(茜)「んーん、何でもないの、とにかく作業始めよ? 牧場長に怒られる前に」
三人は各々の道具を持ち、牛舎の中へと入り込んだ。
牛舎の中には数頭の乳牛がいて、皆柵の穴から顔を出して特有の鳴き声をあげている。
(茜)「さくらちゃんはこの竹ボウキで散らばった餌を牛の方へ寄せて、秋花ちゃんは私と寄せた餌の上へさらに新しい餌を撒いてこう」
茜は奥の部屋から山盛りの飼料を一輪車に乗せて、そのまま秋花と一緒に牛の前へと飼料を撒いて行く、
黙々と作業を行う中、二人の前でホウキを掃くさくらが、茜に話し掛けた。
(さくら)「アカ姉(あかねぇ)は今日何時から働いてるの?」
(茜)「うーん… 朝の4時からかな」
(さくら)「4時‼? あのクソジジイ、私のあかねぇに多重労働させやがって‼」
怒りを表にするさくらは、ホウキの柄を折り曲げる位強く握り締めていた。
茜は苦笑いをしながら牧場長のフォローする。
(茜)「いや…さくらちゃんそれはしょうがないのよ、朝は搾乳があるし、牧場長だって同じ時間に仕事始めてるし…」
(さくら)「そんなもん、ヤツが経営者なんだから当たり前じゃない」
(茜)「でも牧場長は毎日私の二倍の時間は働いてるよ? それに私は研修の身だしね」
(さくら)「むう… あかねぇが言うなら…」
さくらは渋々と納得したようだ。
(茜)「さくらちゃんは何で牧場長がそんなに気に食わないの? あの人口は悪いけどすごくいい人だよ?」
(さくら)「それはヤツが野郎(男)だからよ」
(茜)「ええ… そんな理由!?」
(さくら)「男なんざ全員「一つの生命体」になってエ○ァに殺されればいいのに」
(茜)「嫌な人類補完計画だね…」
