(秋花)「あ‼ もしかしてこの人が言ってたお姉ちゃん?」
(牧場長)「そうだ、いきなり近付くなよ? 噛まれるぞ? 凶暴だから」
(さくら)「私は犬か‼」
牧場長にツッコミを入れたところでさくらは気付いた、それは、秋花がじっと自分を不思議そうに見ていることだ。
何事かと思い、さくらも秋花に顔を向けて、同じくじっと秋花を見つめてみた。
(さくら)「この子本当にオッサンの娘? オッサンに似つかず可愛い顔……?」
さくらは途中であることに気付いた。
少しだけつり上がった大きな瞳、
小さな口に低い鼻、
肌は色白で華奢な体、
片側ヘアピンのロングストレートなさくらと、
ふんわりカールに泣きホクロの秋花、
髪型と伸長に違いはあるが、さくらと瓜二つな人間がそこにいるではないか。
(さくら)「……似てるな、こういう髪型にすると私ってこんな感じなんだ…」
まじまじと秋花の顔を見ていると、秋花は礼儀正しくさくらに一礼した。
(秋花)「初めましてお姉ちゃん、私は娘の飯島秋花です」
子供とは思えない丁寧な挨拶に、さくらはたじたじと挨拶を返した。
(さくら)「え?…あ…青井さくらです。こ、こちらこそよろしくお願いします」
(秋花)「うちのパパ素直じゃないから迷惑かけますけど、よろしくお願いします」
本当にこの子は元ヤン牧場長の娘なのか、その礼儀正しさと愛らしさにさくらの顔は緩み、にヘラっと笑って秋花に近づいた。
(さくら)「やははぁ~可愛い~ 秋花ちゃん何歳? その髪型似合ってるね」
秋花は後ろに手を組み、顔を傾け、にこりと笑って答えた。
(秋花)「10才だよ、さくらお姉ちゃんも綺麗な髪の毛だね、そのヘアピンも可愛いよ」
(さくら)「そう? えへへ、うれしいな~」
