誰もいない放課後の教室でひとり、教科書を広げていた。 半分くらい開いていた窓から風がふわり、入り込む。 その風に誘われるようにふと窓の外に目を向けると、視界に入った人影、ふたつ。 風が彼女の髪をまき上げる。 あらわになったその横顔は、彼女”だった”人。 もうひとつの人影は、彼女の──……。 ちょっと怒ったような顔の彼女と、聞いているのかどうなのか、あしらうような笑みを浮かべた男。 「あれ? 何してるの?」