鏡には当然、リリーの姿が写る。 そして何事かを―二人には理解できない古代語で呟いた。 すると鏡の中心から水面のように波紋が広がる。 それが収まった時、鏡に写っていたのはリリーではなく、1人の青年だった。 「よう…久しぶりだな」 鏡の中の青年は言った。 灰色のタキシードにシルクハットを目深にかぶり、長い前髪のせいで顔はほとんど分からない 。 帽子から少しはみ出している髪は真っ赤な色をしている。