城に仕えたと言っていたが、使用人として城をかけずりまわるリリアですらも魔法使いの居場所は知らない。 恐らく、あまり人と接することなく育ってきたのだろう。 必要なのは、きっかけ。 ――ただ、それだけなんだ。 リリアは片付けを終えると、帰って来ないマリンのことも忘れて、上機嫌で部屋を出ていった。 翌日に、度肝を抜かれる出来事があるとも知らずに。