ドリーシュは厩舎や詰所ではなく、納屋の一つにマリンを連れてきた。
「あやつ、暇なときはいつも此処におりますのだ。不真面目な性格ゆえ、姫様のお呼び出しといえど聞きませぬ。
このようなところにお連れした事をお許しください」
「構わないわ。と、いうより彼らしいわ。帰りのことは彼に任せるから、此処でもういいわ。ありがとう、ドリーシュ卿」
「しばしの散歩楽しかったですぞ。またお越しくだされ」
マリンが笑顔で答えるとドリーシュは納屋を一瞥し、馬を翻して帰っていく。
ドリーシュが確かに帰っていったのを確認し、マリンは一つ息を吐いた。
「さて、と。後はキーファね」
「俺に何の用だよじゃじゃ馬姫さんよ」


