訓練所に遊びに来るといつもドリーシュの馬に乗っていろんなところを回ってもらったものだった。
そのときはいつもドリーシュの前に座っていたのだが、いまやしっかりと成長したためにそれはもう出来なかった。

そのため、後ろに乗せてもらって他の騎士たちが休憩しているところまで向かった。
馬から降ろしてもらうとドリーシュは懐かしさに目を細めた。


「いやはや、ほんに大きくなられましたな。後ろに乗っていただくことに嬉しさと共にわずかな寂しさも覚えましたぞ。いや全く、老いとは恐ろしい」

「そんなことありませんわ。後ろでも昔と変わらず、快適な乗り心地でしたわ」

「おや、馬に乗っては酔って気分を悪くされた姫様の言葉とは思えねぇや、なぁ皆!」


二人の会話に茶々をいれた騎士の言葉で、周りは大笑いに包まれた。
マリンは少し顔を赤くして口を尖らせた。

フン、と鼻を鳴らすとドリーシュに向き直る。