リリアは真摯に語りかける。

「皆から慕われるような人になってください。
国は王族だけでは成り立ちません、民あっての国です。

民から慕われない王など最悪の王です。そのようなお方にはならないでください」


しばし、沈黙が部屋に垂れ込めた。
そして、マリンが顔を上げたその目には涙が浮かんでいた。


「リリア、貴女の言いたいことはわかったわ。…私は、変わらなければいけないのね」

「……」


マリンはそっと涙をぬぐう。

「今までこんな調子だったから、いまさら変わることはできないかもしれないわ」

また涙がこぼれ落ちそうになるマリンの肩をリリアがそっと抱いた。


「いいえ、そんなことはありません、私が居ます。急がないでください。少しずつ、変わっていきましょう?」

「ええ! これからも、よろしくお願いね、リリア!」

「はい!」

そして二人は、固く手を取り合った。