マリンの声が1オクターブほど上がった。

「でも私はこのままでも凡人より数倍は美しいわよ!」

「そうかも知れませんが、このままではそれは維持することは出来ないでしょう。

仮初のものに囲まれた貴女。このままでは賢くも美しくもない、ただの美という響きに執着する愚かな一人の人間です」


マリンは口をパクパクと開けたり閉じたりした。
リリアのあまりの言いように怒りを通り越して驚きで言葉が出ないのだ。

「いいですか?
皆が、民が、何より王様が求めるのは完璧や美しさなどではないのです。

今のままではきっと貴女を見捨ることすらあるかもしれません」


見捨てる――マリンはその言葉に背筋に寒気が走るのを感じた。