リリーは青年のそばに屈みこんで、彼を手をとった。
リリーの目に涙が浮かびだす。

「何!? どうしたの?」

「あいつの魔力…少しだけ残った、から……持っていけ」

「どうして…!」

「魔力が戻れば少しくらい、生命維持にはなんだろ……?」

「そっちじゃないわよ!」


リリーは激しく首を振った。
鏡の青年は訳がわからないと言った顔でリリーを見つめ、微笑んだ。


「じゃあ…な。後は、お前たちの仕事、だ……」


首の力が抜けたと思うと青年は残った部分もすべて消え失せてしまう。

すると、壁にかかっていた鏡が床に落ち、派手な音を立てて割れた。



手の中に遺ったマリンの魔力。
それをしっかりと握り締め、小人に続いた。