妙に緩慢な動きで、割れた結界が爆風でドームが崩れる。

ゆっくりなのはそれだけだった。

次の瞬間、大きな衝撃波が国を駆け巡った。

突風が国を襲い、結界の欠片は猛スピードで飛ばされていく。


少し遅れて爆発により舞い上がった塵あくたが窓という窓を割り、軽い荷物をどこまでも飛ばした。

城の窓から見ていたリリーも目が開けられなくなり、腕で顔をかばう。
その時、切羽詰った声がリリーを呼んだ。


「魔女様っ!!」

「! 貴方たちはっ──!」


振り向けば、そこにいたのは小さな7人の男。

──確かマリンの世話役にされていたドワーフ…

彼らはなきそうな声で口々に言った。



「姫さんが! 姫さんがぁ!」

「案内して!」

「ちょっと…待て…」


もう下半身すべてが消え去った鏡の青年が、リリーを呼び止めた。
苦しそうに首をもたげ、手を伸ばす。