剣先が少しずつ石に埋まっていく。
石にもまた剣先の周りからピシ、と幾筋ものヒビが入る。
青年は残るすべての魔力を片手に送る。
「うらぁっ!!」
パキィ―……ン
金属のようなきれいな高音を立てて石は真っ二つに割れた。
その二つのかけらも細かい筋が無数に入り、まもなく砂と化した。
「ヘッ……偉そうなこと言っても大したことねーな…」
それだけ言うと、青年はその場に倒れた。
「ちょっと! 大丈夫?」
自身も少しよろけながら、リリーは青年の下へ駆け寄った。
青年はぐったりとして、気だるそうにリリーを見た。
体は透けて床が見えるようになり、手足の先はもうほとんど色すらもない。
「オレはいいから……外、見とけよ。面白いもんが見られるぜ」
「?」
リリーは窓に目を向けた。


