途端に、上から石にかかる重力が大幅に増えた。
その重みにプラスして、青年は剣を小刻みに振動させた。
振動により切れ味が高くなり、刃が結界に少しずつ突き刺さっていく。
『な、何だと?! あり得ん! 神に作られたこの私の結界を貫くなど!』
「残念だったなぁ……今オレに力を貸してくれてるのはその神様なんだよ!」
『何?!』
驚愕を表す石を見下ろしさらに力を籠める。
「知らねぇか? 一つのものが多すぎる魔力を持つと神様がそいつをつぶしにかかるんだよ!」
青年は一度剣を抜き、空に飛び上がって体を下に向けた。
そのまま働く重力に任せて、剣を刺す。
刃はさっきよりもさらに深く刺さり、結界はパリンと音を立てて割れた。
剣はそのまま石本体を貫きにかかる。
剣が石の頂点に触ったとき、国中にドォンという音が響き渡る。
リリーは窓に駆け寄り、あたりを見渡す。
空に光るひび割れが現れている。
「あの石の形と結界は連動しているんだわ……」
『その通り。私を壊せば守りは消えるぞ!』
「んなこととっくにわかりきってんだよ!」
青年はさらに力をこめた。
石と剣の間に激しい火花が上がる。


