Snow Princess ~雪の華~

リリーは青年を睨み付け、しぶしぶ従った。

両手の人差し指と親指で三角を作り意識を集中する。


力が発動し始めると、重力を無視するように二人の髪の毛や上着や裾がフワリと浮き上がる。


魔方陣を伝い、リリーの中に貯められた魔力が鏡の青年に流れる。
魔力が多くなる度に青年の体から光の帯が彼を縁取った。


魔力の受け渡しが終わった瞬間、リリーは息を切らせてその場に崩れ座り込んだ。


「ありがとよ。あんたは休んどけ」

「……ええ」


光り輝く青年は石をとり、ちょうどいい高さに魔力で固定する。

片手に魔力をまとい見えない剣を作り、大きく振りかぶった。


石も抵抗を示す。
自らを覆うだけ小さく、強固な結界を作り刃を防ぐ。


2つの魔力がぶつかり合い、キィィンと甲高い音が響く。


『神に見出だされ作られた私を簡単に壊せると思うな!』

「ハッ」


鏡は口元を歪めた。