「あなたは確かに私たちを結界で守ってくれたわ。
けれど、私たちはもう閉じ籠もっている訳にはいかないのよ」
リリーは石を見つめたまま、床に向かって手をかざす。
陣の光が中心から同心円状に波うち始めると、部屋を映していた鏡から青年がすっと出てきて鏡の前の床に降り立った。
そして、リリーの正面に石を間に挟む形で立つ。
石は空中で振動して、恨めしげにテレパシーを流した。
『貴様の差し金か…呪われた鏡めが…』
「呪われた? ただ1つの思いに囚われ同じことを繰り返すお前に言われたくねーな」
鏡は相変わらず不敵な様子肩をすくめた。
「過保護は子供を育てやしないのさ。自分で立ち上がらなけりゃいけねぇ」
「耳の痛い話ね」
リリーが言うと、鏡の青年はニヤリと笑った。
「ついでにあんたにも言ってんだ。
さぁ、始めるぜ」


