Snow Princess ~雪の華~

「はぁ…」

「どしたね姫さん」


マリンは、不満が溜まった顔で小人たちを見た。


「だってぇ…行っちゃったじゃない、あの人。名前くらい聞けば良かったなぁ…」


マリンは大きく伸びをした。


「ま、カッコよかったけど自分がやりたいことしか考えてなくて、突然のエスコートは出来ないみたい。
だから、別にいいけど。

きっと彼、家族を顧みないタイプよ」


ある意味、的を射ている。
マリンの言葉に小人たちは感心してため息を漏らした。


「スゲーな」

「だってお姫様が泣いてるのにこれしかくれないのよ? ケチな証よ」

「けど、食べ頃だぞ?」


マリンはリンゴをじっと見つめた。
実は赤く艶があり、ずっしり重い。


「そうね、美味しそう! じゃあいただきます!」


マリンは一口かじる。


「うん! 美味しい」


それと同時にお腹も悲しげな音を立てた。

小人たちが笑うと、マリンは真っ赤になって更にパクパクとリンゴを頬張った。


「んじゃ、ワシらも飯にすんべ」

「んだな」