リリーは魔法の鏡を通じて、リリアとキーファが無事にベリルの屋敷の隠し通路が国外に繋がっていることに気がつき、その道を進んでいることを確認した。
「よかったわ。あの子なら賢いからきっとわかってくれると思ってたわ」
安堵のため息をつくリリーを写しながら、鏡は言った。
「そらま、よかったな。んで、それよりどうするんだ? マリンのお姫様からは魔力を取れそうにもないだろ?」
「それなら心配いらないわ。私のを使って頂戴」
その言葉に鏡は眉を吊り上げた。
「そしたら誰が石を壊すんだよ」
「それも私がやる」
「馬鹿言ってんじゃねぇ! お前はすでに西区に幻影を送って、王様の足止めにも影を送ってるじゃねーか! これ以上は無茶だ!」
だが、リリーはやわらかく微笑むだけだった。
「ありがとう。でも、あなたの言うとおり他にはいないのよ」
鏡はなおもリリーを厳しい目で見つめた。
「大丈夫よ、安心して。他にも策は打ってあるもの」
「見当はつくが…無茶はやめろよな」
「ふふ、珍しいじゃない。貴方がこんなに心配してくれるなんて」
ふん、と鼻を鳴らして鏡はそっぽを向いて帽子を直した。
「大丈夫。それにマリンもこっちに向かってきてくれているから。きっと…きっと大丈夫」


