「何でお前が出て行かなきゃなんねーの?」
リリアは肩をすくめた。
大体の見当はついていたが、今ここで言う気にはなれなかったのだ。
「ふーん……ま、いいや。オレも行く!
っておいおい、そんなはぁ? 見たいな顔すんなよ」
リリアはもうジェスチャーという手段を捨てた。
あきらめてかばんからメモと筆を取り出し、猛スピードで書き込み、キーファに見せた。
(馬鹿じゃないの? そんな一使用人について城を出てくなんて正気の沙汰じゃないわ! それにあなたには家があるでしょう?)
するとキーファから表情が消え、彼はうつむいた。
「そのことで、オレ今親と大喧嘩してきたばっかりなんだ」
リリアは首をかしげた。


