「ですが、マリン様の役割はもう決まっているじゃないですか。国の王女という大きな役割が」

「私が望んだ訳じゃないわ。それに、そんな役割やりたくない」


それを聞いたリリアは苦笑した。
そして、少し遠くを見つめて言う。


「私には羨ましくてたまらないです」

「どうして?」


リリアはマリンの目を真っ直ぐ見つめる。


「だって、多くの人を救えるじゃないですか。

戦火に襲われた子供に暖かい食事と毛布を与える力があるじゃないですか。

その子供がスパイや殺し屋にならないように出来るじゃないですか。

何年も後になったら敵同士に変わってて殺し合うことなんて無くせるじゃないですか」


リリアは腕の中に顔を埋めた。