改めて回りを見渡すが、あまりに暗くて何があるのかよくわからない。
棚の上に半分ほど蝋燭の残った蝋燭立てを見つけて、火をつけて部屋を照らした。
「!!」
リリーは言葉を失った。
壁にはびっしりと細かい文字が描かれ、棚や引き出しにまで書き込んである。
リリーは、少し前にやったように目の周りに魔力のヴェールをかぶせて、細かい文字に目を近づけた。
そして、それが何かわかると愕然とした。
「何…何なのよ、これ全部催眠の術式じゃない……」
それからリリーは部屋を隅々まで調べた。
散らばる書類は国の法律や政策の案。
部屋のつくりは頑丈にして、古めかしい。
どうやら最近できたものではないらしい。


