リリーはマリンの正面に座り、マリンの目をやわらかな眼差しで見つめた。


「貴方は何故自分が叱られるべきだと思うの?」

「それは…リリアとケンカしたから」

「…そう。ケンカは悪いことなの?」


そう尋ねるとマリンはこっくりうなずく。
リリーは苦笑いして考えこむフリをした。

「…いいですか、マリン? ケンカというものはいちがいに悪いとは言えないのです」

「何故ですの?」


マリンのすぐに問いを返した様子にリリーはまた微笑んだ。

リリーは義娘のこういう素直なところが好きだった。
同時に、それを自分の他にはあまり見せないことを残念に思っていた。

これさえなければ、友もきっと増えるのに