しばらくの間、重たい沈黙が流れた。
突然、リリーが思いついたように立ち上がり、マリンの正面に立つ。
「マリン、今日のところはもう帰りなさい。
これ以上長く体を離れていると危険だわ」
「でもっ!」
リリーは短く首を振った。
だが、マリンは聞かなかった。
「いや、いやよ! 私がせっかく帰ってこられるチャンスなのにっ!」
「それに関しては私たちで考えておくから、今日は帰って?」
それでもマリンは駄々をこねた。
それをみたリリーは小さくため息をつくと、トン、と強めにマリンのおでこを突いた。
マリンはゆっくりと後ろにバランスを崩し倒れていく。
すると、背中が強い力で引っ張られ、周りの景色が滲んで恐ろしい速さで飛んでいった。
気づくと、マリンは帰ってきたままの形で小人の家のベッドに横たわっていた。


